量ではなく質で勝負する
ビジネスとは、新しい価値観を社会に伝えることである。
ビジネスを展開し、これを広げて行く方法は、2通りあると考える。
一つは、トップダウン→量的勝負。自分が新しい価値観を創造したならば、それをコピーして誰でもできるように広げて行く。フランチャイズ展開や、大量生産による工業化などがこれに当たる。量的勝負である。量で勝負する場合には、購買基準は2つ。価格と知名度である。このため、いかに価格を下げるか。そして、とにかく広告で勝負する。昔は、広告と言えば、テレビのCMや新聞広告だった。一方で、現在では、ウェブ上でHPやSNSを用いる。ここでは、いかにキャッチーなコピーで、お洒落な映像を撮るかに注力する。そして、キーワード検索で上位に載れば、お客さんが集まる。
二つ目は、ボトムアップ→質的勝負。質は多様化を伴う。個別対応とは、まさに、お客に合わせて、質の高いサービスを提供することである。商品は物語と共に広がって行く。口コミによって、指数関数的に広がって行く。
前者は都会的、後者は地方的と言えるかもしれない。
あなたが、歯科医で、勤務医をやめて開業したとしよう。ビジネスを大きく展開していきたいと思ったとしよう。
前者であれば、同じ理念をもつ歯科医を雇用して、多店舗展開する。後者であれば、予防歯科など含めて、他にはないサービスを提供し、個別化対応に力を入れる。
あなたが、東京でのIT企業をやめて、地元の老舗の酒屋を父親から継承して営んでいるとしよう。
前者であれば、酒蔵の酒を大量生産する。そのために、機械を入れ、工業化し、広告に力を入れて、数で勝負していく。後者であれば、お酒を使った石鹸やお菓子などを商品開発して、商品ラインナップを増やし、様々なお客のニーズを探り当てて行く。
この時、あなたの心がワクワクするのはどちらかということである。
私は、個人的には、もう量で勝負するのは疲れてしまった。
さらに、ネームバリューのみで勝負するのも辛い。
やはり、質を高めて、顔の見えるお客さん(患者さん)が喜ぶ顔を見る方がやりがいを感じる。
質を高めて、量も追求できないだろうかという野望を抱いたりもする。諦めさえしなければ、可能ではないだろうか。良いものは広めたいものである。質と口コミ効果を、インターネットの力をお借りしてワクワク広めて行くことは可能だろう。
何れにしても、もう量だけで勝負する時代は終わった。逆に言えば、仕事が多様化し、企業に勤めて入れば、安泰という時代は終わったのだ。