気づいたこと
さて、医者になって思ったことは、医者は人からアドバイスを受けにくい人種だということだ。自分の診療スタイルについて何かを積極的にアドバイスされるのは、およそ、研修医の頃までだ。
ある程度自立すると、病院に勤務していても、自分の診療スタイルを誰かに注意を受けることはほとんどない。こちらから、診療方針について他の医師に相談した時に、初めてアドバイスを受ける。つまり、こちらから相談しない限りは、誰も何も言ってくれない。
そこで、私は、好奇心が旺盛なのもあり、開業する前に、大学院や勤務医時代、見学させてもらえる外来は自分からアプローチし見学させて頂いた。
統合医療に特化したクリニックから、在宅診療所まで。アルバイトさせて頂けるところは、外来もさせて頂いた。
最近では、web動画も充実しており、栄養学のオンライン講座で、大勢の前である先生が診察するという動画をみて、感動した。
そして、良いと思うことは、こっそりと盗ませて頂いている。そうやって自分の診療スタイルを築き上げた。
ところが、開業すると、なかなか、他の医師の診療を見る機会はない。逆に、他者に診療を見てもらう機会も少ない。
そんな中、学生実習というのは本当にありがたい。若者が私の診療スタイルを見て、どう感じるのか、非常に興味深い。
学生からの質問から学ぶことも多い。心療内科の新患外来を終えた後の奥村さんからの質問はこうだ。
「先生は、心療内科はどこで学ばれたのですか?」
ああ、そうかあ。そう言えば、大学には精神科はあるけれど、内科的なアプローチを伴う心療内科外来というのはない。
私はどこで勉強したんだっけ?
と頭を巡らせた。
それは、やはり自治医科大学の地域医療学だった。一番初めに教えて頂いたのは、梶井英治先生から。人間は心と体は繋がっている。体全体を診ることが大切なんだと。
そして、その後、プライマリケア医のための心療内科(PIPC)の勉強会に行ったり、栄養学の勉強をしたり、バッチのフラワーレメディーの勉強をしたり、言霊学を学んだり。そして、バイオレゾナンス医学に出会い、全てを統合した。
そんな医学を超えた学びから、今の診療スタイルが出来上がったんだ。
というわけで、奥村さんのお陰で、自分のルーツを思い出すことができた。それは、私の根っこであり、強みである。
今までに存在しない、プライマリ・ケアを軸にした心療内科診療のモデルケースを作っていけたら良いなあと、思った。