ベンチャー医療
先日、クリニックで歓送迎会があり、皆で食事をした。
前橋で開業していた頃のことを思い出話として話していた。そのころを知るのはもう、看護師一人しかいない。
「あの頃は、ハンガーフックに点滴をぶら下げて、畳の部屋で点滴しましたよね。」
つい、3年前のことだ。
「ベンチャー企業だったから仕方ないよ。」
「我々は、とうとうベンチャー企業を卒業かな。」
そんな話で盛り上がった。
新しく入ったスタッフは驚いたかもしれない。
3年ぶりに訪れた患者さんが
「随分と病院らしくなりましたね。」
そんな言葉を伝えてくれたと言う。これほど、クリニックらしくないクリニックも少ないだろうが、それでも、前橋のあの畳の時代に比べたら、ずっとクリニックになった。
一方で、私は、何か、ジレンマを感じた。
組織が成長する時、成長曲線というのがある。成長期から成熟期に達すると飽和状態になる。まだまだ成熟したわけではないが、私は、ずっとベンチャーであり続けたい。つまりは、イノベーションを起こし続けたい。人間、成長が止まったら終わりだ。
今提供している医療が、最終形だと思っていない。まだまだ改良する必要があるし、もっと多くの人に貢献したい。そのためには、医療の概念そのものを変えていく必要があるし、もっとネットを使って、オンライン学習、オンライン医療を追求する必要がある。
成熟して、立派になってしまったら、つまらない。
イノベーションは、自分の脳の中で始まり、それをリアルに思い描くことができた時、現実化する。
死ぬまで、成長し続けたい。
一つの夢が実現したら、次の夢を思い描きたい。
満足するのは、死ぬときで結構だ。