O社長の悩み

「ココ先生、今日は相談に参りました。」

「君の顔は、いつだって困った顔をしているね。」

「え、そうでしたか?私だって困っているばかりでなく、楽しい時だってありますよ。」

「それならば、良かった。」

「ある従業員が、会社に損失がでるようなことをしたにも関わらず、謝罪しないんです。」

「ほう。なぜだね?」

「分かりません。」

「君は、その従業員は、その件に関して、謝罪すべきだと思っている。」

「そりゃそうですよ。当たり前ですよね?ココ先生もそう思いませんか?」

「う〜ん。状況をよく聞かないと分からないが、その従業員は、自分が謝罪すべきだと思っているのかな?」

「そんなの分かりませんよ。そう思っていないから、謝らないんではないでしょうか?」

「つまり、O君は、彼が謝るべきだと思っているが、彼はそう思っていない。意見の相違がある訳だ。」

「はあ。」

「では、命題を変えてみよう。O君は、彼に指導を怠った。そのために会社に損失があった。君は会社に謝罪すべきだ。と言うのはどうかな?」

「なぜ、僕が謝らなければならないのですか。そもそも僕は社長ですよ。冗談じゃないですよ。」

「僕が言いたいのは、君の怒りのことさ。」

「え?なぜ、彼が謝るべきで、君は謝らなくて良いのか。そもそも、君は、どのような会社にしたいのか、君の会社の文化を彼に伝えていたのかな?」

「伝えていたつもりで、伝わっていなかったのかもしれません。僕は、決して彼を責めるつもりはないんです。ただ、会社が成長して行くためには、自分が間違えた時、お客さまに損失を与えるようなことがあった時には、素直にそれを認めて欲しいのです。彼が素直にそれを認めることで、彼自身の今後の成長に繋げて欲しいのです。」

「つまりだ。彼は、まだ自分のことしか考えられていない。自分のこと、お客さんのことを考えたその先は、会社全体のことを考える。そこまで意識が付いて行っておらん。そんな時に、謝れと言われたってそれは受け入れられないだろう。ただ、そのような、間違いを隠蔽するのではなく、なかったことにするのでもなく、会社全体の責任として成長していこうと言う文化を醸成していけば良い。そうすれば、自分のことしか考えられない人は勝手にやめて行く。成長したいと思う人は残り、共に成長して行くのだ。」

「なるほど。僕は、表面的なことしか考えていませんでした。」

「だから、君が次にすべきは、会社の理念や君の思いを社員全体で共有することだ。」

「分かりました。早速、取り組んでみます。」