自殺予防
死んでしまいたいと思ったことがあるだろうか。
私はない。だから、本当の意味で共感はできない。
医者になってから、多くの人の死に遭遇した。そもそも、研修医の初日から、病棟で患者さんが急死したのに立ち会った。医者とはそういう仕事なんだと、洗礼を受けた。
それから15年。病院での死。自宅での死。そして、縊首して救急搬送されてきた人たち。そんな多くの人の看取りに遭遇した。
特に、自殺者の場合は、それを防ぐことができたのだろうかと考える。家族は、それによって自分を責め続けることが多い。
「どうして、私に相談してくれなかったのだろう。」
しかし、もう死ぬと腹を決めてしまった人に
どうしたら、もう少し生きていようと思わせることができるだろうか。
薬を飲んで、思考を停止させたら良いのだろうか。
入院させて、監禁することが有効だろうか。
朝まで語り明かしたら良いのだろうか。
命を絶ってしまったらお終いだ。
うつ予防アプリを開発中だが、アプリで会話することで、深いところまで話し合うことが可能だろうか。
言葉の力は大きいはずだ。
人は無力ではないはずだ。
私にもできることがあるはず。
生きていて良かったと思える世の中を作っていきたい。