相手の期待度を一度下げる
今日、診療の終わりに、看護師さんとミーティングをした時の話だ。
「患者さんの診療への期待度と私たちの間に温度差があると思います。」
と一人の看護師が私に伝えてくれた。難病を患う人ほど、いくつかの医療機関を経て、口コミで当院にいらっしゃる。この先生なら、私の病気を治してくれるかもしれない。
そんな期待を持って、来られるようだ。しかしながら、医療の根本を履き違えている。病気の根本は、患者さんが持っている。それに気づいて手放せるかどうかが重要なのだ。そして、何十年もかかって患った病気の根本が分かったとて、それを取り除き、快方に向かうには、それなりの時間と費用がかかる。
自分の身体をロボットか何かと履き違えていると思う。そして、治す主体は患者さん自身であることを置き去りにしている。
日本人は、いつからこんなに依存的になってしまったのだろうか。自分の病気は自分の人生そのものだ。医者を過信し過ぎていないだろうか。
医者は、神様でも魔法使いでもない。ただの人間だ。だから、私は、あえて患者さんに伝える。
「私はあなたを治すことはできません。あなたが治るのをサポートするだけです。」
あなたの最大の主治医はあなた自身である。その主体を間違えなければ、私たちは最大限のサポートをすることができる。
そして何より重篤な病気を発症する前のあなたの身体のメッセージに耳を傾けよう。予防こそが何より健康の鍵なのだ。