総合医マインドとは

先日、恩師である自治医科大学地域医療学教授の
梶井英治先生を始め、お世話になった先生方にお会いした。久しぶりにお会いできて、本当に楽しかったです。
そんな飲み会の後、感じたことがある。
やはり、私の総合医マインドは
この自治医大地域医療学教室で醸成されたのだと
改めて再確認した。
私が思う総合医マインドとは、以下3つである。img_2130
1.患者さん目線で物を考えられ、伝えることができる。
自治医大卒業生のアンケートで、
「地元の方言を理解できますか?」
と言う項目があるそうだ。
いかに、住民目線の医療を大切にしているかが分かる。
何より、住民シンポジウムでの梶井教授の話が
分かりやすい。対象を意識した分かりやすさで、シンポジウムも、大人気だ。
これは、当たり前のことに思うがそうではない。
偉い教授の話と言うのは、専門家に理解できても、一般人に理解できないことが多いのだ。
専門家が、素人目線で話せる能力を持ち合わせていると言うのは、とても魅力的である。
私は地域医療学で育てられたからこそ、住民目線で話すことを心がけているのだと再確認した。

2.未知の病気の遭遇を恐れない
そもそも、人体は、複雑な生命体であるから、単純に診断治療ができるわけではない。そんな複雑さを当たり前の事実として受け入れるのが総合医なのだ。これは、専門外だから分かりませんとは、言わない。その結論を、出すのは自分なりに取り組んでからだ。医療資源が少ない田舎で、活躍された自治医大卒業生の影響かもしれない。

3.他職種連携が得意である。
地域医療は、まちづくりでもあるから、多くの総合医が行政と協力して、保健医療に取り組んでいる。
すなわち、コミュニケーション能力が高くないと、総合医は務まらない。
行政、医療者、住民
その他、多くの人と連携しなければならないのだ。医師は、そのチームのリーダー的役割を担うことが多い。
梶井教授から、大学病院時代に教わったことは、闘わないリーダーシップだ。後から学んで気づいたが、これは、フロー経営につながることだった。こちらの主張を一方的にするのではなく、相手の意図、意向を聞きながら、舵取りをしていく。その時、争いの構図はマイナスにしかならない。梶井教授は、皆のやる気を引き出すリーダーである。にこにこしながら、いざと言う時の一言は大きい。一見、収集不能に思える案件も、教授のリーダーシップによっていつの間にか、皆が笑顔になる結果に落ち着いているのだ。このリーダーシップを、大学と言う組織で発揮されていたことは改めて、すごいことだと思う。一企業、一診療所でさえ、マネージメントは大変なのに、多くの意図を持った人が集まる組織で、それをやり抜いた教授を心から尊敬している。短気で、話し合いが苦手な私が、真のリーダーシップを学ぶことができたのは、梶井教授のお陰なのだ。これは、総合医に必須の資質である。

以上3つが、私が考える総合医マインドだ。
昨今、やはり、専門医志向の医師が増えている印象だが、今後、総合医マインドを持った医師が一人でも多く育つのを願っている。