ファスティングについて 続き
ファスティング(断食)について、臨床研究の結果が出た。なんと、今年1月の発表である。
文献はこちら
ドイツ人が発表している。
1422人にファスティングとして1日200−250kcal制限で4−21日間のカロリー制限をし
前後で、幸福感や血液検査データを比較している。
結果は、ファスティングの前後で、統計学的に優位に身体的にも精神的にも幸福感が上がり、
血糖やコレステロール、体重、BMIなどの心血管疾患のリスクを減少させたと発表している。
よくこの論文を見てみると
まず、断食中の症状として、睡眠障害が14.9%、全身倦怠感が13.7%に出ている。
採血結果では、白血球が減り、炎症反応であるCRPが上昇
ヘモグロビン、MCVが減少し、GOTが上昇し、GPTが減っている。
低血糖によって、睡眠障害や、全身倦怠感が出現したのだろう。
そして食事制限により、ビタミンB6が不足し、GOTとGPT(肝機能)の乖離が進んだのだろう。
そして、鉄不足により、貧血が進行している。
さらに、断食によって、全身の不飽和脂肪酸が分解され
酸化した油が血中に出てきて、炎症反応を惹起しCRPが上昇したのだろう。
カロリー制限しているため、血糖やコレステロールが下がるのは当然である。
低血糖で、交感神経が緊張すると、ノルアドレナリンが放出され、ハイテンションになり
ランナーズハイと同じ状況になる。
これにより、主観的健康観は一時的に上がるだろう。
これらを持って、ファスティングを勧めるのは危険だと私は思う。
もともと栄養療法に興味関心がある女性は、細身で華奢で
副腎疲労の方が多い。その方達が、ファスティングしたら、さらに副腎疲労が悪化し
体調不良者が続出するだろう。
実際、私も3日ほど、一日300kcalほどの酵素断食なるものを実践したことがある。
低血糖でハイテンションとなり、閃きが湧いて、ものすごく仕事ができたがそのあと
とてつもない疲労感が続いた。
物事は、多方面からみる必要がある。
一つの事象だけ見てしまうととても危険だ。
特に、医師などの専門家の影響力は強いのでとても注意が必要だと思う。
さて、この論文をあなたの目で読んでみて欲しい。
専門用語では、論文の批判的吟味と言う。
どんな結果が書かれているだろうか。