効果の検証を行う

新しい治療法というのは、どちらかというと帰納法で体系化され、演繹法に集約してきた。

漢方診療もそうだ。

だから、試してみて、良かったから、症例を集めて、それを理論的に検証して体系化される。ゆえに、未だかつて、あまり人が取り組んでいない治療法に関しては、多くの例を集めて検証することが欠かせない。

そう言われると「野蛮だ」と言う人もいるかもしれないが全ての治療法がこの過程を経て、体系化されている。
野生の動物は、体調を崩すと、断食したり、野にある草や木の実を食べて、治療している。原始人はこれらを観察して、薬草を見つけた。地球上、あらゆる場所に伝統医療として根付いているのは、それを体系化したものである。そして、それが古来からきちんと残っているのが、東洋医学で漢方の歴史なのだ。

西洋医学は、古来は、まずは、頭痛患者に開頭術で脳圧を減圧するといった外科治療から始まっている。さらに、瀉血という治療法もあった。まずは、やってみて検証したのだろう。随分野蛮だと思う。
華岡青洲は、麻酔の体系化のために、妻を実験台として、犠牲にしている。
こういった、先人たちの知恵によって、我々の医療は成り立っている。
お陰で、現在は、このような無謀な人体実験をせずに、医療を行うことができているのだ。
オゾンについて言えば、1915年第一次世界大戦の時にドイツで兵士の創傷の消毒に使われたのが最初の医療への応用である。その後、アメリカで、オゾンの血管内注入で、空気塞栓による死亡事故がでたが、その後、1961年に大量自己血オゾン療法が体系化され、この治療法による死亡事故の報告はない。それどころか、様々な効果が分かり、今尚、これが検証されている。
お陰で、我々は安心して、血液クレンジング法として取り入れることができている。

しかし、そうは言っても、医学が進歩するためには、効果の検証を行い続けることが重要なのだ。
何も統合医療に限らず、検証は行い続けている。
人体とは1+1=2という白黒はっきりすることは少なくて
むしろ1+1=3や5、時に0になったりするのだ。

こう書くと、皆、びっくりするかもしれない。
医療とは、もっと安全で、信頼できるものではないか。
特に、日本人は平和な民族なので、医療を信頼し切っているとも言えよう。

医療はもっともっと不確実なもので、日々進歩している。

だからこそ、病気を、人類の知恵でなんとかしようという時には、知恵を出し合って、帰納法で検証し合うことが欠かせないのだ。その現場は、私たち一人一人の医者の診察室で行わているのだ。そんな検証がしあえる仲間に感謝である。