距離感
このテーマは、大学を卒業するときに、友達と展示会を開いた時ものだ。
人との関わり方は、人それぞれである。
私も、患者さん一人一人と向き合いたいといつでも思っている。
しかし、病気は、やはり各人のものであるから、私が踏み込めない領域もある。
何より、私自身ができることも限られている。
だから、ある一定の距離を置くよう心がけている。
それは、逆に言えば、客観的視点を忘れないようにするためであろう。
この相手との距離感は、研修医の頃から、私にとって課題である。
つい、近づき過ぎてしまう傾向にある。
研修医の頃、担当になった患者さんと毎日ベッドサイドで話していた。
ある患者さんは、薬を飲みたくないと言い、
ある患者さんは、検査をしたくないと言い、
ある患者さんは、実は、手術をしたくないと言った。
ウンウンと聞いていたが、私に決定権はなく
結局のところ、薬を飲み、検査をし、手術をした。
指導医には、注意された。
患者さんの意向は大切だが、医学的に良いと思ったことは
勧めるのがプロなんだよ。と。
その通りだと思って、しのぎを削って診療している
指導医の先生方の背中をみて育った。
それでも、やっぱり、考えれば考えるほど分からなくなる
この治療法が、あなたにとって適切なのかどうか。
視点を変えるが
仕事先の人に言われたことがある。
「僕が、あなたの秘書だったら、僕は異なる働き方をします。でも、僕は取引先ですから。」
と。
どうやら、私は、近しい距離をビジネスで関わる相手にも求めてしまったようだ。
一方で、何かお願いすると
先回りして、なんでもやってくれる取引先の方もいる。
私の秘書でもなんでもないのに。
人にはそれぞれ、働き方がある。
それを強制することはできない。
そして、私も、人のためにそこまで働けるかと言われれば
そこまでコミットできないことも多々ある。
それは、怠けているとか、そういうことではなく
人それぞれに物差しがあり、優先順位があるということだ。
それは、批判するべきことではないのだと思う。
文化の違いとでも言うものかもしれない。