自尊心と傲慢は違う
診察室で、自己効力感 自信について話していたところ
患者さんから、こんな質問を受けた。
「自信を持ってしまうと、何か、他者に対して傲慢になってしまう感じがして、いつも謙遜してしまうのです。」
この質問は、非常に考えさせられた。
まず、「謙遜」の意味を調べてみると
自分の能力・価値などを低く評価すること。
「傲慢」の意味
傲り高ぶって、人を見下すこと。
つまり、相手を自分より低く評価することと解釈できる
いずれも、自分と他者との比較から生まれている言葉であることが分かる。
「比較する」文化が当たり前になっているため、上記のような質問が出て来たのだろう。
「謙遜」と「傲慢」のどちらでもなく自尊心を持って謙虚であることが大切だと思う。
「自尊心」の意味
「ありのままの自己を尊重し受け入れる」態度とする。セルフ・エスティーム。
「謙虚」の意味
自分の能力・地位などにおごることなく、素直な態度で人に接するさま
他者との比較ではなく、自分自身をありのまま受け入れる(自尊心)。比較しなければ、相手を見下す事も、見上げることもない。その上で、ありのままの自分で砂のに相手に接するのだ(謙虚)。
「自尊心」と「謙虚」は両立できるのだ。
しかし、このことを言葉で伝えるのは難しい。
「自尊心」も「謙虚さ」も、感じて身につけるものであり、考えて身に付くものではないのだ。
だからこそ、小さい頃からの教育が大切だと思う。
日本人が経済的に豊かであるにも関わらず、幸福感が低いのはここに原因があると思う。
どうしたら、自己肯定感の低い人に、自尊心を伝えられるのか。今後の課題である。