部分の集合は全体ではない
あなたは、こんな経験はないだろうか。
とてもお気に入りの時計を買った。とてもお気に入りのスカートを買った。とてもお気に入りのコートを買った。とてもお気に入りのブーツを買った。どれも、トレンドでお洒落なものだ。
全て着てみたら、チグハグで全くお洒落ではなかった(笑)。
部分を集めたら全体になると言うことは全てには当てはまらない。
要素還元主義とは、部分を構成している概念が全体にも当てはまると言う考え方だ。これは、生命、地球のあり方とは相容れないと、現代科学は言う。
a crude look at the whole 全体を俯瞰してみてみよう。
物理学では、私たちのマクロな世界は重力があるニュートン力学によって成り立っている。しかし、この世界観は、原子核や陽子、中性子を扱うミクロな世界観では当てはまらない。なんと、ミクロな世界では、テレポーテーションのような電子の瞬間移動があったり、波動の干渉や共鳴が起こったり。全くマクロな世界観では解釈できない事が分かった。
では、人間の体はどうだろうか。
要素還元主義、すなわち人間機械論によって、医学が発達してきた。しかし、部分を集めたら、全体になるだろうか。
大学病院に勤めていた頃、総合診療科の外来で働いていた事がある。
ある患者さんは、主治医が5人いると言った。糖尿病内分泌科、循環器科、心臓血管外科、腎臓内科、整形外科。その5人の主治医は、自分が主治医だと本当に思っているだろうか。
例えば、60歳女性。原因不明の湿疹で大学病院の皮膚科を受診したとする。皮膚科で、皮膚生検をしても異常がない。その内、胃が不調で調べたら、胃がんが見つかった。消化器外科で手術をした。その後、抗がん剤を服用すると皮膚が悪化した。アレルギーリウマチ科で調べると膠原病である事が分かった。免疫抑制剤を投与された。最後は、肺炎で呼吸困難に陥る。
そんな事だってありうる。自然療法的立場からすると、胃がんの原因と湿疹の原因は共通である。その根本治療をしないで、対症療法していくと、病気はどんどん複雑になり、最後は、自分の免疫を抑制するような治療法を受けることになる。本末転倒ではないだろうか。
つまり、部分を集めても、全体の医療にはたどり着かないのだ。
世の中で、総合診療科の重要性が問い正されているのは嬉しい。しかし、医師の総合診療力は、各専門診療科をローテーションで研修しても身につかない。専門分野で、どんな治療法がなされているかを知ることは重要だろう。しかし、本当の総合診療力は、全体をみる、別の研修を要するのだ。
日本内科学会も、総合診療専門医の資格制度を導入した。しかし、結局のところ、専門医の土俵から外れない。専門分野を集合しても、総合診療にはならないのだ。
私が提供しているのは、心も身体も丸ごと診る総合診療である。だから、内科も心療内科も提供している。東洋医学でもない西洋医学でもない両者を融合した自然療法的世界観に立脚している。
そんな総合診療を学びたい若きプライマリ・ケア医、心療内科医がいましたら、当院で、研修しませんか?