関根家の子育て
今から考えると、関根家の子育ては、私たちの自立を促すのに最適だったと思う。
と思っていた。私は、3人姉妹の長女である。両親共働きだった。保育園のときには、母は、制服やお弁当を忘れてしまうほど、忘れ物が多かった。だから、母に任せておくと、いろいろが進まない。
「お母さんはおっちょこちょいだから、私がしっかりしなくては。」
といつしか思うようになっていた。
小学校に上がると、学校でいろいろと学ぶ。かけ算九九から漢字の書き方まで。母が家に帰ってくると学んだことを一生懸命伝えた。母は、初めて聞いたかのように関心して聞いてくれた。父にも辞書の引き方を伝えると関心してくれた。私たちは、父母は何も知らないから、教えてあげなくてはと思っていた。
私の妹(三女)は、未就学の頃から、よく本を読んでいた。夜になると、母親が読むのではなく、妹が母親に読んで聞かせていた。母親は先に眠っていた。もちろん姉二人はとうに寝ていた。
これほど、私たち姉妹が自立しているのは、両親の教育が良かったのかもしれない。
天外伺朗氏が提唱するフロー経営の真髄とは、リーダーによる愚者の演出だそうだ。リーダーができないふりをすることで部下が育つ。まさに、私の両親は、愚者の演出によって、私たち子どもを育てていたのかとびっくりする。
今、両親に尋ねても、そんな覚えはないとのことだが。