迷いは悟りの第一歩

まだ、太田に引っ越したばかりの頃(って大昔のような感覚だが、ほんの半年前のこと)、私自身、環境の変化に心がついて行っていなかった。

そんな時、スタッフNちゃんに手渡しされた本が、「迷いは悟りの第一歩」ネルケ無方さんというドイツ人僧侶の書いた本だった。迷いのない、悟りの境地というのは存在しなくて、迷い続ける中に生きる真理があるのだと。
クリニックの大移動という、大きな決断をした私だが、その頃の私は、迷いがあり、迷いを払拭するために、山にこもって僧侶にでもなりたいと考えることがあった。この本を読んで救われた。迷いがない人というのは、成長もないのだと教えてもらった。

その後、ある先生のコーチングを受けた時に
「お釈迦様だって、迷いながら、弟子に説法していった。『非暴力不服従』を伝えたガンジーだって、葛藤があったはず。迷いがない人なんていなくて、自分が一番葛藤して苦しんだことを、伝え続けたから伝説に残っているんだと僕は考えるのです。」
と言われた時、Nちゃんに借りた、ネルケ僧侶の話と通じた。
だから、迷い続けて良いのだと。不安な自分は居なくならないし、イライラしている自分も居なくならない。世の中には、迷いも何もない悟りの境地なんて存在しない。山にこもったって、煩悩は出てくるのだ。
だから、迷っている自分、不安な自分を受け止めて、可愛がってあげて、迷いながら笑いながら歩んで行けば良い。
そう思ったら、とても楽になった。
今日も朝から夕まで、いろんな葛藤だらけの私。Nちゃん始め、スタッフみんなに自分の葛藤をシェアして、笑われて、そして救われた。
そう、迷いがない人なんていないし、準備万端で自信があって、何かを成し遂げている人なんていない。自分のコップの水が20でも80でも100でも関係ない。みんな迷いながら、自分の出来る限りを120%出して前に進んでいるのだ。