親子の葛藤
親子の葛藤と言うのは、いつの時代も永遠のテーマである。天外伺朗さんによれば、それは人類が誕生してから永遠と続いているそうだ。
小さい頃に、親から教わったことが絶対ではないと気づいたのは、結婚してからだった。夫の家に初めて行った時に、なんて穏やかな家なのだろうと思った。親というのは自分の親を基準にしていたので、育つ環境は人格に大きな影響を及ぼすのだと初めて思った。
私の家は、自営業を営んでおり、両親共働きだった。だから、とにかく、「時は金なり」で、無駄使いをすれば怒られたし、いつでもスピードを求められた。私はのんびりの方だったので、父親と母親のスピードにはついていけなかった。
そんな気質を受け継いでいるなあとつくづく思う。夫と話している時、スタッフと話している時、私の気質は父親にそっくりだなあと思う。
そんな自分の世界観を変える大きな出来事は、人との出会いである。大学で一人暮らしをした時、友人から料理を教わった時のその上品な感じは今でも忘れない。結婚した時の、夫のゆったりした時間の使い方は今でも参考にしている。そして、出会った仕事仲間からは、日々新たな価値観に驚かされる。そして、患者さんの物語には、人それぞれの価値観がある。
世界観が変わると、時間の流れ方が変わる。豊かさの概念も変わる。とても面白いなあと思う。もちろん、私を産んでくれた両親に感謝している。そして、その時代の両親の価値観がなければ、今の私はなかったのだと思う。ただ、その価値観が絶対ではないことも分かった。自分の価値観はいつだって更新することができるのだ。
私たちの手には、いつだって自由がある。