覚悟
開業する時に、覚悟したことがある。
それは、自分に正直に生きようと言うこと。
自分に嘘をつかないこと。
勤務しているときには、どうしたって、上司、すなわち、病院であれば院長、学校であれば学長、そして、医局であれば教授、准教授の思考、理念に沿って働かなくてはならない。もちろん、それは、私にとってとても重要な期間であったし、社会人として、医師として多くのことを学んだ。
今から考えれば、私は、目の前の患者さんのために、いつも全力で診療に当たって、結局のところ、体調を崩して、最後は、迷惑をかけてしまった。燃え尽き症候群と言われる状況だった。上司、病院の意向で診療しなければならないので、その枠組みに耐えられなくなったのだ。
だから、開業する時には、自分に正直に、本当に良いと思う医療を提供しようと思った。そもそも、医療とは依存を生み出してしまうから、「学びながら健康になる」と言う理念を掲げて、NPO法人の立ち上げて、セミナー活動を始めた。そして、学びを主体として、診療を始めた。
本当の医療とは何だろうか。
そもそも、私は何のために医者になったのか。
ずっと、問い続けてきた。
今だって、問い続けている。
医者とは、実は、傲慢で、実は、人を治すことなんてできないんじゃないだろうか。
多分、90年前、バッチ博士は同じように悩んだのではないだろうか。
医療なんて、所詮、人が作り上げたものである。西洋医学も、東洋医学も、そして統合医療も。そもそも、医療がなくても人は生きていける。
それでも、私が死ぬまでにできること。
それは、人が生きがいを持って生きるお手伝いをすること。
そのためには、自分で考える力を身に付けること。
あなたが考えて、成長するためのお手伝いをする。
考えることをやめたら、人は人でなくなってしまう。
答えはあなたの頭の中にあるのだ。
依存から脱却する二人三脚の医療を提供したい。それが、私の実現する夢である。
あと半年で死ぬとしたら、何をするだろうか。私は、今と同じことをし続ける。そして、人を育てることに注力する。