薬よりも食べ物が大切
先週、太田薬局の太田智弘先生をお招きして、漢方の概論講座をして頂きました。
その時に印象的だったのが、人間の生命の気には、先天の気と後天の気がある。先天の気は、生まれ持った体質の部分もあるが、後天の気は、外界から自分の体に取り入れる気である。その中に、食べ物から取り入れる水穀の気があると教わった。
つまり、後天の気は、外界から食物や水分を取り入れないと生成されないので、漢方薬だけ飲んでも、気の巡りは良くならない。だから、ご飯はしっかり食べましょう。という太田先生からのメッセージだった。
確かに、健康に関して突き詰めると、漢方を飲んでいれば、断食をし、食べなくても大丈夫という人がいるが、それは本末転倒である。
自分の中に生命の気力がなければ、巡らせることはできないのだ。
改めて、食事の大切さを知り、また漢方薬も自然から成っており、私たちの体は、自然の一部であることを知った。
先人が組み立てた東洋医学の奥深さには、畏敬の念さえ覚える。
これは、栄養学の面からも言える。
うつ病やパニック障害は、鉄不足とタンパク質不足が原因である事が多い。いくら、カウンセリングしても、栄養が足りていなければ、病状は、改善に向かわない。それゆえ、当院の心療内科では、食事指導に力を入れている。
しかし、当院を初めて受診された方に
「あなたの病気の原因は、栄養不足ですよ。しっかり食べてください。」
とお伝えすると、受け入れられない方が多い。
「あの理不尽の上司さえいなければ。。。」
「あの親に生まれなければ。。。」
「あの役職にさえつかなければ。。。」
と、自分の栄養状態は、まるで関係ないので、話だけ聞いて欲しいという方もいらっしゃる。
カウンセリングと食事の関係は、漢方薬と食事の関係と一緒である。体の中に食物から入れた生気がなければ、いくらカウンセリングしても魂の成長は得られないのだ。
食事の時間をもっと大切にしよう。