職業というこだわり
職業と言うこだわり。これは、とても面白い課題だ。
様々な職業がある。
医療関係ならば、医師、看護師、薬剤師、精神保健福祉士などなど。
職業と言うならば、ケーキ屋さん、お花屋さん、パイロット、医師、弁護士、教師、会計士、税理士、無限にある。
小さい頃、「何になりたいのか?」と聞かれると、子供は、今の大人がついている職業を元に夢を組み立てる。
しかし、本来、職業とは、人間が作り出したものだ。
今ある職業は、10年後にはないかもしれない。10年後は、予想だにしなかった仕事が生まれているかもしれないのだ。
医師と言う仕事についた時、その仕事の本質は、人の病気を治療することだ。医者になって就職先を考えた時、私は、現在提供されている医療システムの中の歯車の一つになることしか考えてなかった。最も自分の価値観にあう、研修先を選び、入局先を選んだ。最後は、自分が提供したい医療は大学でも病院勤務でもできないと思い開業した。
医師と言う資格はあるが、大学で研究しようと、医学教育に携わろうと、勤務医でいようと、開業しようと自由なのだ。さらに言えば、医師と言う資格があるからと言って、必ずしも医療機関で働く必要はない。
自分は何者かを問う時、職業を名乗らずに、自分を紹介することができるだろうか。医師である前に人間である。その人間として、私は何をしたいのだろうか。人が健康になるのであれば、医療でも教育でもまちづくりでも何でも良いのだ。
その上で、医師だからこそできることを展開すれば良い。
ある看護師さん。実は、看護師をやめて他の職種で働こうと考えたが、たまたま当クリニックの求人を見つけて応募してきた。従来の病院での看護業務に就くつもりはなかったと。今では、彼女は、立派に当クリニックで看護師として働いている。看護師をやめたかったわけではない。人を看ると言うことが大好きなのだ。その表現方法は無限大にある。そのことに気づいた彼女は当院で生き生きと働いている。
以前はセラピストだったA子さん。セラピストとして実力もある、信頼もある。でも彼女がやりたかったのは、一人一人を癒すことでは物足りなかった。世の中全体の価値観を変えて、一人一人が生きやすい世の中を作りたかった。今では、地域クリエイターとして、自分のやりたいことを自由に設計し、社会貢献している。
生き方は誰かが提供してくれるものではない。職業が決まれば、将来が保証されるものでもない。自分が何者かを問い、自分の人生設計をしていくことが大切なのだ。その時に、既存の職業に縛られる必要はない。そもそも、現在、この世の中にない概念で働くことだって可能なのだ。
皆、翼を持っている。そのことに気づいて、羽ばたくだけである。