統合医療に初めて出会う

僕は、Sやかクリニックという2年ほど前にできた近くのクリニックに電話予約し、1週間後に受診した。

看護師さんから話を色々と聞かれて、答えた後、診察室に通された。診察室では、S先生が待っていた。木の作りで、病院ではないみたい。

「こんにちは。初めまして。Sと申します。よろしくお願いします。ところで、今日はどうされました?」

僕は今まで3週間の経緯を話した。その上、結構ひどい花粉症を持っていること。20代の頃に5年間ほど、タバコを吸っていたこと。食事は早食いであること。就職してからは、ほぼ自炊をしていないことなどを根掘り葉掘り聞かれた。

そして、不思議な機械を使って、ブンブン何かを回し始めた。

「あなたの咳の原因は、主には、マイコプラズマ感染、RSウイルス感染、その上、腸内環境が悪い。また慢性上咽頭炎があるわね。これには、過去の喫煙歴も影響しているわ。コンビニ食なんかで、添加物も体に溜まっているわ。」

およそ20分の診察だったが、その後、勧められた治療は、乳酸菌サプリ、漢方エキス剤の内服、点鼻薬、抗生剤3日分だった。その上、なんとも不思議なベッドの上で40分、水素吸入しながら、ドイツ振動療法というのを受けて、最後にラムネのようなタブレットをもらった。

看護師さんからは、慢性上咽頭炎、腸内環境について、諸々説明を受けた。

「先生、ところで、O市民病院からもらった、このステロイド吸入薬とか、抗アレルギー薬はどうしたら良いでしょうか?」

「まあ、あなたの体がそれを要らないと判断するまでは、当院の治療と併用していてください。」

「はあ。」

「それから、当院での診療に関する情報は、全て、このアプリから配信しています。アプリをダウンロードして、必要な情報を得てください。」

と言われて、看護師さんに聞いて、アプリをダウンロードした。お勧め書籍も出てくるし、そもそもS先生のブログの情報と、毎月のセミナー動画がアップされていた。先月のセミナーがインフルエンザの予防についてだ。何と、慢性上咽頭炎について説明している。早速見てみよう。毎日の食事や睡眠時間を入力すると、アプリが、僕に生活指導してくれるみたい。

僕は、あまりの診療の違いにびっくりした。先日のO市民病院で受けた5時間の診療のほとんどは、診断に費やされ、なぜ、僕がこんなに咳が続いているのか、何に気をつけたら良いのか、全く分からないまま、検査結果と薬だけを渡された。確かに咳は止まったが、体調不良は続いた。

一方で、Sやかクリニックでは、診察は30分。クリニックにいる時間はおよそ2時間。検査らしい検査といえば、あの不思議な機械。でも、僕は、自分の体に一度も触れられていない。金属の棒を持ったくらいだ。それなのに、僕の咳の原因を過去にまで遡って説明してくれた。

そして、アフターフォローはこのアプリだ。

僕は、ざっと自分に関係あるS先生のブログ記事と、セミナー動画、必要な電子書籍を購入して読んだ。

つまりは、僕は、喫煙や食生活によって腸内環境の悪化と、上咽頭にある扁桃組織の炎症を惹起され、慢性的に体の粘膜が炎症状態にあった。だから、花粉症時期には結構辛い状況だった。そんな慢性炎症の状態に加えて、仕事の過労と栄養不足によって免疫力が低下し、先日の都内への出張の際の電車の中で、マイコプラズマなどの病原体が感染したようだ。

こんなに、病気の原因について、説明を受けたのは初めてだった。

その上、知らないことだらけだ。

日々の食生活が、今回の咳や花粉症に影響していたなんて、初めて知った。

言われた通りに、乳酸菌を内服し、抗生剤、漢方を飲んでいくと、最初は、咳が出てきて少し焦ったが、数日後には咳も止まり、体全体が楽になってきた。

僕は、O市民病院の薬はとっくにやめてしまった。僕の体が要らないと判断したからだ。

S先生には、体質改善のために、少なくとも6ヶ月は通院するよう言われた。およそ6ヶ月で花粉症も良くなるという。まあ、僕の努力次第だとも言っていたけれど。でも、毎年のあの辛い花粉症の時期のことを考えると、半年の通院をしっかりしようと思った。