大病院志向
僕は、2週間咳が続いている。日に日に咳がひどくなってきた。とうとう、職場の同僚のTくんに心配された。
「ねえQくん、ひどい咳だよ。早く病院を受診した方が良いよ。2週間も続いているなんて、異常だよ。この辺の開業医はピンキリだから、近くのO市民病院の呼吸器内科を受診した方が良いんじゃない?」
「え?そうかな〜。もうすぐ治ると思うんだけど。」
「油断は禁物だな。」
そう促されて、僕は、O市民病院の呼吸器内科を受診した。予約は必要なかったが、朝8時半に受付して、先生の診察室に通されたのは、10時50分。もう、すでに疲れて、僕は帰りたかった。でも、病院を受診しないとなんだか職場にも戻れる雰囲気ではなかったので、我慢した。
診察室を通されると、T山先生という男の先生が椅子に座っていた。2週間の経過を説明すると、簡単に聴診した後で、次々と検査を勧められた。
胸部レントゲン撮影、採血検査、呼吸機能検査 などなど。院内中の検査室やらレントゲン室を回った。
全部終了して、診察室に戻ったのは13時を過ぎていた。明らかに昼食を食べずにイライラと診察しているT山先生がいた。
「え〜っと。レントゲン検査は正常、拘束性パターンの軽度呼吸障害があって、採血では好酸球が上昇しています。咳喘息ですね。」
そう言われて、ステロイド吸入剤、鎮咳剤、抗アレルギー剤、気管支拡張剤(貼付剤)がたっぷりと処方された。
僕は、薬局で受け取った薬の量をみて、驚いてしまった。たかが咳で、僕の財布からは、1万円札が消え、手元に多くの薬が残ったのだ。
言われた通りに薬を使うと、瞬く間に咳は止まった。
ところが、体調がだるく、微熱がある状態が数日続いた。職場には行けたが、このまま薬を飲んでいて良いのだろうかという不安が残った。
悶々と悩みながら、PCにて検索していると
「薬だけに頼らない自立した健康づくり」という理念を掲げているクリニックを見つけた。
なになに、どうやら予約制だ。Tくんは、開業医とはピンキリだと言っていたが、そもそも病院の医者が信頼できるかと言えば、僕の直感ではNOだ。
そうだ。明日、予約の電話をしてみよう。