究極論vol.2
時々、行き詰まると、私は何をしたかったんだっけと思って、白い紙を出して、マインドマップを描いてみる。
昔描いたマインドマップ。
山の近くの小さな家に住んで、絵を描いている私。
これは、今の私だ。金山の裏に家を借りて、引きこもって絵を描いている。
そして、新しくマインドマップに描かれた私も、結局のところ、小説や絵を描いて引きこもっていることが人生の安らぎだと思っているようだ。
自分が楽しいと思えることを書く(描く)ことが、幸せなんだろう。
そんな私だけれど、夜が明けて、朝になるとクリニックに出勤する。
「医者」と言う鎧を着る。
朝、スタッフみんなで朝会をする。
「おはようございます。」
院長の挨拶から始まる。あ、私が院長なんだって、そこでまた、自分の鎧を自覚する。9時になって、診察が始まると患者さんから多くの質問を受ける。
時々、自分を空から観察してみると、なんとも立派な受け答えをしている医者である自分に驚愕する。
そして、夕方になって、クリニックを出て、家に帰ると、その鎧を脱ぐ。
夫の
「おかえり」
の言葉で、私は、失格主婦になれる。
「さやか。この茶碗、汚れているよ。ちゃんと洗ったの?」
「洗ったよ。気になるなら、あなたが洗って。」
そんなだらしのないただの41才女性。いつまでも、どこまで行ってもただの一人の女性。
だから、時々、日中でも鎧を脱いでしまう時がある。あるスタッフには気づかれ、あるスタッフには気づかれない。
そもそも鎧は必要なんだろうか?って思う。
秋の夜長は、うつに注意だ。