相手が思う自分像と友達になる。
さて、こんな経験はないだろうか。
「あなた、〇〇よね。」
と言われた一言が、自分には全く当てはまらないと感じていること。そんな時、本来の自分はこうなんだと、一生懸命に相手に理解してもらおうとする。そうすればそうするほど、相手は遠ざかってしまう。
私は、大学に入った頃、あまり勉強が好きではなかったので、結構サボってしまうことがあった。そんな時、ある医学英語の基礎の単位を落としそうになった。友達から
「関根さん、しっかり勉強した方が良いよ。大丈夫?」
と言われた時、とても悔しかったのを覚えている。高校生までの成績が良かった自分の自己像にしがみつき、他人から見た勉強ができない自分を受け入れることができなかった。そのあと、必死に勉強した。
開業したばかりの頃、医師会の会合や、学会に行くたびに
「関根さん、若いのに、女性で、一人で開業したの?」
と言われることが多かった。どうして、そのように言われるのか理解できなかった。私自身、誰だって、いつでも、起業できると思っていたから。でも、今だったらその言葉を理解できる。周囲から見たら、開業にはそれ相応の準備が必要で、30代女性医師が開業するのはリスクがあると、皆思ったのだろう。
そんな時、無理に相手に自分の本来の立場を理解してもらう必要はない。
私は、開業しているけれど、サポートしてくれる人がいるんですよ。と言えば、ああ、この子が一人で開業したんじゃないんだと、周囲は安心する。それで良いんだと思った。
社会から見たら、医学的専門知識は持ち合わせているけれど、経営者としては頼りない自分をいったん受け入れてみる。組織が大きくなればなるほど、私の手には負えないことが増える。それを周囲の人にお願いする。そして、私は、クリニックの院長として、診療に専念する。
なぜならば、ゴールは、私は、院長としても経営者としても一人前として認められることではなく、医療で世の中を変えて行くことだから。周囲を味方につける方がよほど重要なのだ。
自分の無駄なプライドを、いったん、脱ぎ捨てよう。
と言うわけで、ゴールを履き違えて、自己像に無駄にしがみついていることはないだろうか。相手から見た他己像を一旦受け入れてみよう。そして、ゴールを達成するために、素直に、相手の力を借りよう。