漢方薬にまつわる誤解

「漢方って効くんですか?」

「漢方薬って長く飲まないと効かないのですよね?」

「間質性肺炎とか、肝障害とか、副作用が心配です。」

そんなネガティブなことを言われることも多い。また、西洋薬と一緒に漢方エキス剤を処方すると、西洋薬はきちんと飲むのに、漢方薬だけ余っていますということも少なくない。

まず、漢方薬は慢性的な病気に体質改善で使うことは多いが、実は、急性期疾患にもよく使う。風邪症状、胃腸症状は、飲んだらすぐに効くことが多い。

では、効くとはどういう意味だろうか。

風邪薬を飲むと、咳が止まる、鼻汁が止まる、熱が下がるというのを薬が効くと思う方が多い。最近では、たかが風邪でも多量の薬が処方されることも少なくない。その際、薬を飲んで、症状は治ったが、だるさが長く続く、とか、治ったと思ったらまたすぐに風邪を引いてしまったということはないだろうか。

風邪に対する漢方薬は、葛根湯が有名だが、葛根湯、桂枝湯、麻黄湯、麻黄附子細辛湯、苓甘姜味辛夏仁湯、小柴胡湯加桔梗石膏など色々ある。いずれも、発熱、発汗させて、治癒力を発揮させて快方に向かう。そして、内服しないよりも早く風邪が治癒に向かう。

胃腸炎も同様である。単に下痢を止めるのではなくて、いったん胃腸の調子を整えて、快方に向かう。だから、すぐにピタリということではなく、食欲が出てきて、下痢が緩やかに止まっていく。やはり、内服しないよりもずっと早く快方に向かう。

慢性的な疾患に対しては、体質改善のために内服するため、降圧剤を飲んで、すぐに血圧が下がるという具合にはいかないが、漢方は、内服して数日で体調が変化することが多い。

最近、近隣の太田薬局さんで、煎じ薬を保険診療内で処方することが可能だとわかった為、私も毎朝煎じて、1日かけて飲んでいる。

診察室内が異様な匂いがしたら、ごめんなさい。

私の場合、当帰芍薬散を飲み初めて、数日で、疲れやすさや肩こり、やや便秘気味だったのが改善した。体調がよくなって初めて、以前は、万全でなかったと分かる。

漢方薬を見直してみませんか?