抗加齢学会
日本には、抗加齢学会という学会があり、先週末に初めて参加してきた。
アンチエイジングを和訳すると、抗加齢となる。
アンチエイジングというと、多くの医療者からは邪道だというイメージがある。かく言う私も、医療者たる者、病気を治すのが仕事。アンチエイジングなんてチャラチャラしたものは、美容系にお任せした方が良いと、美容外科や形成外科は私の範疇外と考えたことがなかった。
ところが、つまり、抗加齢とは、老化を予防すること、すなわち、病気を予防することそのものなのだ。これは、プライマリ・ケア医の仕事そのものだ。
病気になってから治すのではなく、治す前に予防する。その結果、いつまでも若々しく生きることが可能となる。何歳になっても、若く健康で幸せに生きたいとは人類共通のテーマではないだろうか。
学会のメインテーマは幸福寿命。平均寿命、健康寿命に次ぐ、幸福寿命という概念。
ただ生きている期間、健康に生きている期間、幸福に生きている期間。まさに、人が、ただ長生きするのではなく、幸福に長生きするためには、医療はどこまで貢献できるのだろうか。
今まで、勤務医時代も含めて、多くの高齢者からこんな声を聞いた。そのうちの一人Aさんから
「先生、生きていてもつまらない。あちこち痛いし、もう我慢ならない。」
と言う言葉を聞いた。それでも、Aさんの唯一の楽しみは、近くの市営温泉に入りにいくことなんだそうだ。お風呂に入って、仲間と話して帰ってくる。
そんな時、いつも思う。
人生を支えるのは、医者だけでなく、家族であり、地域全体なんだ。
「病院を出よ!まちへ出よ!」
そんなお年寄りにとって、出かけることは、やはり楽しいようだ。
太田市には
金山中学校と言う高齢者のための学校がある。歴史や文学、健康、音楽、ウォーキングなど、幅広く学んでいる。
駅前にある美術館図書館では、定期的に寄席や映画鑑賞会が開催されている。若者から高齢の方まで多くの方が参加している。
高齢者に限らず、若者でもすでに夢を失っている人も多い。
幸福寿命とは、とても奥が深い概念だ。
さて、皆さんは、自分が幸福に生きるために、日々気をつけていることはありますか?一度皆さんで、考えてみませんか?