感動が人を動かす
開業して思ったこと。
医療界だけ、マーケティングが圧倒的に古く遅れている。
そもそも、医療は、人の命に関わる仕事で公共性が高いことから宣伝に制約がある。
広告は開業時にしか出せないし
看板やチラシに載せる文言にも制約がある。
キャッチコピーは看板に入れてはいけない。
本来、マーケティングが必要ない業界だ。
が、どうやら、医療界にも資本主義の波はやってきて
競争する時代が到来しているようだ。
車や自転車で街を走っていると看板が目につく。
たいていは、診療所、歯科、病院、あとは、大手企業の道案内のものである。
中小企業で、野立て看板をあちこちたてる業界は
医療以外にあまりない。
なぜか。
野立て看板に広告効果を期待する時代は終わったのである。
今時、看板を見て、「あのクリニックに行ってみよう。」という人は少ない。
クリニックの場所は、住所をナビで調べれば良いので、看板でわざわざ場所を教える必要もない。
マーケティングに無頓着な医療界のみが看板にお金をかける。
馬鹿馬鹿しい。
他の業界を見習い、費用対効果を検証した方が良いと思う。
当院は、広告費ゼロを目指した。
広告にかけるお金があったら、診療の質を上げるためにお金を使った方がよい。
だから、当院はクリニック前にしか看板はない。
最初はそれさえもなく手描き看板で始めたが、
診療内容の表示義務があるので、最低限作った。
曲がり角くらいには、看板を出したらどうかと多くの人に言われたが
今では、道に迷う人も少なくなった。
とは言え、開業当初にホームページを作るかどうかは迷った。
患者さんに情報提供する意味であった方が良いという趣旨で作った。
看板にお金をかけるよりずっと良いマーケティングになる。
というわけで、当院は、ホームページ以外に広告費はかけていない。
例外的に、町内の名簿作りに広告を出して欲しいといわれ
広告というよりは寄付を趣旨として出資したことはある。
それ以外、あらゆる広告の勧誘はお断りしている。
そもそも、診療はすでに予約がいっぱいで、宣伝の必要がない。
じゃあ、どうして人が集まるのか。
「感動が人を動かす。」
ハードではない、ソフトで人は動く。
物語が人を動かす。
先日、美術教育の専門家とお話する機会があった。
先生はおっしゃった。
「アートが受け入れやすい世の中になっている。もう肩書きや建前ではなく、感動が人を動かす。だから、現代は、アートが境界なく世の中に浸透して行く時代となった。」
見た目ではない、本質は何か。コンセプトや物語が大切なのだ。
真の医療とは何なのか。皆が問い始めるようになった。
欲しい医療を皆で作り上げて行く。
そのコンセプトに感動する者たちが集まってくるのだ。
これは、偶然ではなく必然である。
そんな私たちのイベントはメディアを巻き込みムーブメントになっていく。
これを、マーケティング専門家によるとPR戦略と言うらしい。
このムーブメントが街全体を活性化していく。
非常にクリエイティブな若者起業家集団が保健・医療・福祉の分野を含めて群馬に集結し始めた。
医療の枠組みを超えて、街全体で、地方創生していく。
考えただけでわくわくする。
作りたい未来を皆で作ろう!