若者から学んだこと

さて、1週間の学生実習を受け入れて思ったことは、質問されることは、こちらの振り返りになるということだ。

そして、若い柔軟な人と話していると、本当に感動する。

こちらが1話すと10吸収するのが分かる。そして、彼女なりの言葉でどこまで理解したかを表現し、それが私の気づきになる。

そういう対話は本当にありがたい。

「多くの医師は、ある程度勉強して、身分と所得が保証されたら、それ以上望まないですが、先生は違うのですね。」

と言われた時、本当に嬉しかった。

身分保証なんて、手に入れたって、私は満足できない。きっと、死ぬときに後悔する。

死ぬときに、後悔しないように。

「やりたいと思ったら、すぐに実践する。」

お正月にバルセロナに行ったときに、本当に思った。今、この時間を大切にしよう。自分に我慢する生き方は手放そうと。

そう思ったら、多くの人の協力を得られるようになった。そして、人に、夢をウキウキ話すと、その夢が何倍にもなって返ってきて、その夢の実現を多くの人が手伝ってくれることが分かった。

ちょうど、私が医学生だったとき、ホテルニューオータニかどうか、多くの病院が集まる説明会に行ったときだった。何故か、漢方と鍼灸で開業している先生がいて、「どうしたら、そう言った診療をできるようになりますか?」

と聞くと

「まずは、10年は通常の現代医療を学びなさい。」

と言われたのを覚えている。

それから10年経って、開業した。あれが、どの先生だったのか、今となっては分からない。

何れにしても、学生の時も、研修医の時も、自分の将来のモデルとなるような医師に出会うことはなくて、悶々とした日々を送っていた。あんな風には、働きたくない。

そして、本屋で参考にしたのは、医師の開業指南書ではなく、カフェ経営やサロン経営、ビジネス書だった。

医師だって、自由な発想で開業できるはずだ。

そうやって、今あるクリニックを形作ってきた。そんな他にはない私の今までの軌跡を若者に伝えることができて、本当に嬉しい。

若者の当院での研修が、医師のキャリアパスをもっと柔軟に考えるきっかけになってくれたならば、本当に嬉しい。

生き方なんて、とても自由だ。

医師の在り方だって、もっともっと自由なんだ。

人の健康を支え、人の人生にこれほど影響を与える仕事はそうそうない。ぜひ、頑張ってほしい。