太ったら、精神が落ち着いた

太ったら、パニックが治った!

え〜!!!

まさかと思うかもしれない。半年前から、分子栄養学なるものに興味があって、学び始めた。私自身、採血すると、鉄欠乏、タンパク質不足、潜在性の甲状腺機能低下、低血糖があり、副腎疲労まっしぐらなことが分かった。

実は、人は低血糖の時に、血糖を上げるために交感神経を緊張させて、全力で血糖を上げようとする。だから、低血糖時には、イライラ、怒りっぽくなるのである。だから、私は、診療中、午前の終わりと、午後の終わりはイライラモード全開だったらしい。

パニックとは、一時的なものだと思っている人が多いが、パニックとは、日常的にずっと続いている考え方、マインドである。怒りっぽい人は、常に、イライラピリピリしているのだ。

そして、栄養学を学んで驚いたことは、「ぽっちゃり体型の人がもっとも長生きである」という事実だった。

血液検査結果で、ある程度、鉄とタンパク質が足りた状態を目標にするとぽっちゃり体型になるという。Jカーブと言って、痩せすぎも太りすぎも寿命が短い。その間が長命なのだ。これは、とても悩ましい事実で、このダイエットブームで、みんなが芸能人のような体型を目指すと、パニックやうつになるのも無理はない。パニック状態で、狂気の沙汰になってしまうような殺人犯などは、大抵、痩せ型のことが多い。腸内環境が悪化しており、腸からビタミンB群やミネラルを吸収できないため、メチレーション回路が回らず、セロトニンが十分作られない。タンパク質摂取不足、ジャンクフードなどによる添加物増加によって、さらに、悪化する。

このことに気づいてから、私は、健康的に太りたいと目標を掲げた。

ジムに通い始めて、最初のカウンセリングで

「痩せたいですか?」という質問に

「太りたいです。」と答え、インストラクターの方を、驚かせてしまった。みんな、ジムにはダイエットのために行くらしい。

腸内環境を整えて、少しずつタンパク質摂取量と全体のカロリー量を増やした。具体的には、半断食が良いと思っていたのをやめて、朝食を食べるようにし、空腹時には間食をするようにした。

具体的には、毎食で食べるタンパク質の量を増やした。卵、納豆、魚、お肉含めて食べるようになった。以前は、お肉は、自分の体より小さい鳥や豚だけ食べていたが、反芻動物で、飽和脂肪酸が多いという理由で国産牛も食べるようにした。だし(アミノ酸)を取って、汁物を摂る量も増やした。よく噛んで、果物、野菜の摂取量も増やした。すると、以前よりも、お腹が空くようになった。

間食は、分子栄養学で進めているナッツやゆで卵も食べるが、単糖類を敢えて摂るようにした。単糖類は、インスリンを介さずに細胞の代謝に使われるという崎谷理論に従った。その理論によれば、タンパク質を吸収するためにも、十分な糖質(特に良質な単糖類)を摂った方が良いという。すなわち、黒砂糖を舐めたり、フルーツストレートジュースを飲んだり、良質なチョコレートを食べたりした。

その結果、半年で、体重が4kgほど増えた。大学卒業後すぐの体重に戻ったのだ。実は、研修医になってから、過労なのか、間違えた健康概念のためか、徐々に体重が減っていたが、それ以来初めて体重が戻った。

そうしたら、日中、空腹でイライラすることがなくなり、精神的に穏やかに過ごせるようになった。つまりパニック状態、副腎疲労から脱したのだ。

パニックとは、気合いで治すものではなく、きちんと、自然なものを適切な量食べることで治すものなのだ。

まあ、ぽっちゃりまでは目指したいと思わないが、健康的にやや体重を増やすことに成功した。

ただ、今の私には課題がある。回復したとは言え、胃腸は弱い方なので、タンパク質を食べても十分に吸収できないこともある。また運動量も不足しているため、筋肉も増えたが脂肪率も増えたのだ。糖質はやや取りすぎかもしれない。また、単糖類は摂りすぎるとやはり腸内カンジダが増えて、やや腹部膨満感がある。その量の加減が必要のようだ。

来月のクリニックセミナーでは、この部分を詳しく話す予定である。興味のある方はぜひ、いらして欲しい。