北風より太陽になろう
大学院に入学したばかりの頃、体調を崩したことがあった。
体調を崩していることが、ストレスによるとも分からないで
知り合いの先生のクリニックを受診して
「お腹が痛いのです。」
と言って、胃カメラ、腹部エコーをしてもらい、漢方をもらって飲んだ。
先生から
「何か、ストレスあるの?」
と聞かれた。新婚の頃だったので、色々と心配された。
自分でも大学での人間関係に、ストレスを感じているなんて微塵も思わなかったので
なぜお腹が痛いのか分からなかった。
後から考えたら、
建前と本音が異なる事態に遭遇して、とても混乱していたのだ。
多分、私自身が、本当に単純で、裏表という概念が無いので
言葉と行動が異なる状況に遭遇すると困ってしまっていたのだ。
まさに、「私って、アスペ!?」そのものである。
そんな時、人を信じられなくなり、疑心暗鬼になり、
体調を崩した。
その時、救われた言葉が、
「人を疑って消耗するよりも、人を信じて傷ついた方が良い」
ということだった。
人を疑い始めると、どうして良いか分からなくなり
どんどんドツボにはまってしまう。
そんなことを経験するよりも、信じて傷ついた方がましだと思う。
もし、今の自分が当時の自分にアドバイスするとしたら
「正しさの尺度にズレがあるだけですよ。
相手の物差しを理解する必要はないけれど
そのズレを認識することが大切なのです。」
と言うだろう。
実は、今回、発達障がい当事者で、経営者であり本を多数書いてらっしゃるアズ直子さんの
コミックエッセイを監修させて頂いた。
本が完成するまでの間、私は、自分が診療で患者さんに伝えていること
そして、普段、ぐんまHHC、さやかクリニックのスタッフとの間で交わされているコミュニケーションのことなどを
振り返り、その中の経験から得たことを形にして頂いた。
本当に貴重な経験を頂き、アズ直子さん、大和出版の方々、ご協力いただいた多くの方々に感謝している。
このコミックエッセイで、私は医師という立場でアズ直子さんへのアドバイスという形になっているが
実は、この私からのコメントは、私自身に向けてでもある。
日々の生活で悩んだ時に、私自身が助けられた考え方、アドバイスである。
実は、私は、自分自身のために、心のケアに取り組んでいるのだ。