先生、玄米はカラダに良いのでしょうか?

本当に、短絡的に食習慣について書かれた本やテレビ番組が多いので、閉口する。
一方で、私が、診察室でお伝えすることが、マスメディアで伝えていることと異なるので
来られた患者さんは
「先生独自のお考えですか?」
と疑問を持つのも無理はない。

今まで、何度となく聞かれたのは
「先生、玄米は身体に良いのでしょう?」

確かに、本屋さんに行って、自然療法や健康に関する食の本を広げると
「白米や精製された小麦粉を避けて、玄米や全粉粒の小麦粉を食べましょう。」と書かれている。

私も最初はこの情報を鵜呑みにして実践していたが、現在はやめている。
この情報には、2つの誤解が含まれている。

1、小麦粉とお米は別に議論すべきである
これは、今までもブログに書いてきたので
以下を参考にして欲しい。
こちら

2、玄米を食べる際に気をつけるべきこと
❶農薬の問題
農薬は胚芽に多く含まれている。
だから、白米で食べる時には、農薬が含まれる部分はほぼ削られているので、農薬の害を心配する必要はない。
しかし、玄米を食べるのであれば、無農薬、つまり自然栽培米にこだわるべきである。
❷フィチン酸の問題
玄米の皮 つまり糠層の部分に、自ら種子を守るための毒としてフィチン酸を持っている。
これらは、体内に入るとビタミン、ミネラルを排泄するように働いてしまうため、
普通に炊いたのでは、良い栄養素を摂っているはずが、それ以上に排泄されてしまう可能性がある。
発芽玄米、酵素玄米などのように、特殊な炊き方をして毒素を中和した形で食べるべきである。
❸胚芽や糠層に含まれる栄養素をお米で摂る必要があるか
そこまで考えると、何も、お米を完全栄養食として、一生懸命、玄米を食べる必要があるかということだ。
誤解を恐れずに伝えるが、私は、食事、食材にさほどこだわっている訳ではない。
ただ、健康を害するものは極力摂らないようにしている。
だから、わざわざ、自然栽培玄米を取り寄せて、一晩つけて、発芽させて炊くというようなことはしない。
夫の実家で採れたお米(市販されているものよりも減農薬)を白米に精米して食べている。
「彩のかがやき」と呼ばれる品種で、コシヒカリほど、アミロペクチンの含有量は高くなく
血糖値の上昇は緩やかと推測している。

(同じお米でも、アミロースとアミロペクチンの含有量によって血糖値の上昇が異なるので
それは、また後日、説明しよう。)

という訳で、まとめると、何もお米で全て完結して栄養素を摂る必要はなく
玄米にこだわる必要はないのではないだろうかというのが結論だ。
おかずで、十分なビタミン、ミネラルを摂取すれば良いのではないだろうか。
ただ、もし、玄米を食べたいのなら、無農薬と炊き方にはこだわるべきだろう。