人として大切なこと
先日、診療中につい、涙を流してしまうことがあった。
いつもは、その人の感情を客観的に見つめるため、医師患者関係で、感情移入はない。
ところが、どうしても許せないこと。それには、つい、同情してしまった。
それは、我が子が、人として扱われなかったことに対する不快感、悲しみについてだった。
私が、発達障害や敏感体質な子供たちと話ができるのは、彼女たち彼らの人間としての素晴らしさを尊敬しているからだ。
概して、大人は、そういった子供たちに「障害児」とレッテルを貼ったら、上から目線でしか扱わない。そういう大人は、障害児だけでなく、全ての人間関係において、正常か正常でないか、常識的か非常識的かで判断する。そういう人間には、どうしてか腹が立ってしまうのだ。
教師である前に、医師である前に、母親である前に、人として、どうあるべきか。そういった人のあり方について、私はとても敏感だ。
私は、「医師」という肩書きがあるから、守られている部分が多分にある。「医師」というだけで、謙遜する人もいる。でも、一度、そんなマントを外してしまえば、ただの人だ。そんなただの人として、友人と付き合っている。
すべからく、全ての人に人間としての価値がある。そんな当たり前のことを、大切にしたい。