「病院づくり」は「まちづくり」である
12月11日茨城県筑西市で行われた新病院開設のための、住民説明会に参加した。
スピーカーは、筑波大学の水谷太郎先生と自治医科大学の梶井英治先生であった。
筑西市と桜川市の合同で新病院の建設が予定されており、この12月に着工するそうである。
この病院建設にあたり、住民への説明会が定期的に開催されているそうだ。
大学院で地域医療学に在籍中から、このような住民への勉強会へ参加する機会は多かったが、今回久しぶりに参加した。
水谷先生からは、新病院の医療体制、主に救急医療の体制について説明があった。二次医療を担う病院として、どこまでの機能を持ち、大学病院と機能分担していくかが話題の焦点となった。
梶井先生からは、「病院づくり」は「まちづくり」というお話。
何と、病院は行政なり医療者なりが一方的に作って、医療を与える存在ではなく、お互いが理解し合い、意見を出し合って、共に医療を作り上げて行こうというお考えだ。
この話は、何度も教室にいる頃から伺っていたお話だった。
にも関わらず、私は梶井先生のお話に釘付けだった。
聴衆が、梶井先生の話に引き込まれていくのが分かった。
そう、自分の健康だから、人任せではない。自分たちで何とかしなくちゃならないのだ。そして、高齢化はどんどん進み、医療資源は限りがある。市民の血税でまかなわれるその医療資源を皆でどうやって有効に利用するのか、そのために、一人一人ができることは何なのか。
そういった医療という話題を、決して人ごとで、一方的に要求すれば良いというのではなく、自分ごととして捉えることを提案していた。
だからこそ、「病院づくり」は「まちづくり」なのだ。
自分が、大学の一員ではなく、一人の開業医として患者さんと関わるようになって聞いた梶井先生のお話は
とても新鮮だった。
まさに、私が今現在やっていることこそが、医療者と住民との認識のギャップを埋めるための講演会やセミナーなのだ。
私のルーツは、やはり自治医科大学地域医療学にあると再確認した一日であった。