「先生、辛くて仕方ありません。」
毎回、診察室にいらして
「先生、辛くて仕方ありません。」
と言う方がいる。
「〇〇さん、何が辛いですか?」
「*`|=〜*>』。」
「お出かけしていますか?」
「はい、近所のお店に服を買いに行ったり、お友達とご飯を食べに行ったりしています。」
ほんの数ヶ月前に当院に初めて来られた時には、ほぼ、家から出ることがなかった方だ。明らかに良くなっている。それでも、〇〇さんは、辛いことしか話さない。
「〇〇さん、良くなっていますね。そんなに出かけられて。」
「いや、先生、辛くて仕方ないですよ。」
「私は、魔法使いでも、神様でもありません。あなたの病気を治すことはできません。治すのは、あなたですよ。」
「魔法の薬がないのは分かっています。前にも言われましたから。でも辛いんです。」
こんなトンチのような会話をした。聞けば、診療の後、友人とランチに行くそうだ。お変わりなく元気である。このように、弱音を吐いたり、苦しいと言える場所も必要なのだろう。