自閉傾向があっても、人前に立てる

「私は小さい頃から人付き合いが苦手」

と伝えると、

「先生、あんなに人前で話しているのに、初めての人と話すのは苦手ですか?」

と驚かれる。

そう、多人数の前で話すことと、コミュニケーションが得意なこととは全然違う。以前、山本一太議員の演説を聞いたことがある。ものすごい迫力で、息継ぎする暇もないくらい、大声で喋り続けて、聴衆を圧倒させていた。そこから、多くのヒントを得た。つまり、聴衆を気にし過ぎてはいけないし、自分が伝えたいことを、大きな声で一方的に話してもある程度伝わるというわけだ。

多人数の前で話すとき、私は以前、とても緊張していた。なぜかと言えば、それは自分の話したことに対する相手の反応を気にしていたからだ。パニックになる人は、ほとんどの場合がそうだと思う。自分の反応、自分の仕草、言動が、相手の目にどう映るかを心配しすぎてパニックになる。

ある時から、緊張しなくなった。それは何かと言うと、自分が話が上手ではないことは十分、分かっていて、ありのままを話すことに集中することにしたからだ。多人数の場合、相手が全て理解したかどうかを確認している暇はない。また、疑問に思って、反感を持っている聴衆がいたとしても、仕方がない。聴衆の反応を気にしないで、今ある思いを下手くそながら伝えることに集中したのだ。

これは、自信があるというのと全く違う。開き直りのようなものだと私は思っている。だから、どんな大きな講演会でも、緊張しないで話すことができるようになった。

ただし、万全の準備をしていく。それも、講演会なりセミナーで伝えたいことをマインドマップにするか、一つのイメージとする。メッセージは1つか2つ、それだけは伝えると決める。そして、スライドは準備するが、聴衆によって、話す内容が微妙に変わる。ただ伝えるイメージは変わらないのだ。

ただ、1対1のコミュニケーションは異なる。相手との双方向のコミュニケーションだから、セミナーや講演会のように喋りっぱなしというわけにいかない。自分と思考が異なる他者とコミュニケーションを取るのは、どうしたって緊張する。この緊張感を乗り越えると、話して良かった、行って良かったと思うことも少なくない。でも、私は、やっぱり苦手。以前、患者さんから、「異性と話す時に緊張しない方法はありませんか?」と聞かれたことがあるが、「私もカッコいい男性を前にしたら緊張する」と回答し、全くアドバイスにならなかった。一時期、無理して、社交性を身につけようとした時期もあったが、今では、諦めた。というか、「友達は少なくたって良いじゃないか。」と開き直ることにしたのだ。

私のコミュニケーションスキルはあまり、参考にならない。

是非、アサーティブなコミュニケーションスキルを身に付けたい人は、佐伯幸子先生のこころコミュニティーか、こころカレッジに参加して欲しい。