病気はあなたへのメッセージ 第1章

さて、物語を書き始めることにする。もちろん、フィクションである。

テーマは予防医学。おそらく、今年の講演会のネタになるだろう物語ですが、このブログを読んで頂いているあなたには、先にネタばらしになりますね。

これから始まる2人の女性の物語を紹介します。

舞台は2030年。東京オリンピックを終えて10年経過した日本は、さらなる高齢化社会に突入していた。しかし、予防医学が確実に広まり、高齢でも働く人が増え、確実にメディカルインバウンド事業は花を咲かせていた。人口が減り、高齢化率が高まる中、国内総生産は上がり続け、日本が先進国をリードする時代が再びやってきたかのようだった。

現在、「櫻井ハル」は42才。結婚して10年経過する。夫の両親と夫と4人暮らし。夫は剛(つよし)44才。ハルが勤務していた大手住宅メーカーの事務職として働いている時の上司だった。現在、夫は、父親の工務店に入り、父親と一緒に働いている。子供はいない。2度流産して、それから、母体に負担がかかるという理由で挙児は諦めた。
ハルは結婚を機にしばらく、仕事を辞めていたが、子供ができないと分かると3年前から、近くのショッピングモールのアパレルショップでパートで働き始めた。若いスタッフしか募集していなかったが、ファッションが好きで、色使いやコーディネートが好きなことから、直談判し、勤めることができた。コミュニケーション能力も長けていて、徐々にお客様の人気を集め、店長にも認められるようになった。
しかし、最近、ふとしたことで怒られることが増えるようになった。
「ハルが出勤した日は、必ず、会計が合わないのよ。」
「ハル、あのお客さん、毎月のように来店されているのに、名前覚えていないの?」
自分では、何で怒られているのか分からないが、持ち前の明るさで
「申し訳ありません!」
と謝った。最初の内は、店長も多めに見てくれたが、その内、出勤すると、目を合わせてもらえなくなった。それでも、ハルは、「店長、今日は機嫌が悪いのかしら。」とあまり気に留める事もなく、常連のお客さんとの会話に夢中になった。
ある日、事件は起こった。ハルが休暇の日に、店長からスマホに電話がかかってきた。
「ハルの常連のお客さんで、杉田さん。今日、お店に来られて、ERUブランドのTシャツのMサイズがなかったから、注文して行ったそうだけど、PCのどこにも発注履歴が残っていないのよ。今、杉田さんがいらして、いつまで経ってもお店から連絡がないからって。」
「え?」
ハルは頭の中が真っ白になった。
「私、そんな注文受けてませんよ。」
「そうなの?じゃあ、良いわ。こっちで処理する。」
怒って、店長の電話が切れた。
ハルは、全く何のことか分からない。後日、いつも通りに出勤すると、店長が激怒していた。
「あなたに頼んだと、名指しで杉田さんは言ったわ。発注忘れでしょう。」
店長が怒っているので、取り敢えず、謝った。
「申し訳ありませんでした!」
と謝ったものの、記憶にない。

そんなある日、店長から言い渡された。
「あなた、もう来なくて良いわ。」

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