混乱する質問

人に質問する時、2パターンある。
一つ目は、自分が分からないことを知りたい場合
二つ目は、自分が知っていることを、相手に伝えたい場合。

一つ目は素直な質問である。
分からないから、聞くのだ。
だから、聞かれた場合、こちらは、その質問に対して素直に答えるのみ。

二つ目は、非常に分かりにくい。questionではなくsuggestionなのだ。
すなわち、相手は、こちらに何かを教えてもらいたい訳ではなく、
質問には、こちらに対する示唆(suggestion)を含んでいるのだ。
これは、単純な質問と回答という形式ではなく
情報交換という意味合いが強い。
このような質問を受けた場合のコミュニケーション技術としては、
「貴重なご指摘ありがとうございます。」
などの一言を入れるのが効果的である。
この一言を入れるだけで、コミュニケーションが戦闘態勢にならずに
一気に柔らかくなる。
そして、質問ではなく、示唆なので、
一生懸命に答える必要はなくて
教えてくれてありがとうということを伝えれば良いのである。

このことは、臨床研究の勉強会で大学院生の時に教わった。
この時、講師と研修生のやりとりがとても楽しく愉快だったのを覚えている。
大きなセミナーや講座の時の質問と回答のやりとりではあるが
これは、診察室でもよくあることだ。

患者さんからの質問は、私に対する単純な質問であることもあるが
何か、こちらに伝えたい意図がある場合もある。
そんな時は、一生懸命、私が伝えることに集中しない。
患者さんから教えらえることもあるのだ。