三方良し

Aさんは、とある住宅メーカーの営業職だ。Aさんの人生のミッション(目的)は、住宅を通して人に幸せを提供すること。

お客さんとのやりとりの中にはうまくいくこともあれば、クレームを頂く事もある。

その都度、Aさんはお客さんと丁寧にやりとりした。また、自分が頂いたクレームは、上司にも報告し、会社全体の向上に役立てようとした。

その結果、見積もりの段階でクレームを頂いていたお客様から、本契約が決まり、住宅が建った時には、

「Aさん、あなたのお陰で、満足のいく住まいを得られることができて良かった。」

と感謝された。

 

同じ住宅会社で働くBさん。Bさんは、人生の目的についてあまり深く考えることはなかった。まあ、自分が昇進して、今より給与が上がって、妻と子供に不自由ない生活をさせてやりたい。それは本音だった。

Bさんは、毎日誠実に仕事をした。ただ、お客様からのクレームを極度に恐れていた。なぜならば、クレームをもらうことは、自分の評価が下がることに繋がる。絶対にクレームをもらうことがあってはならないと思っていた。

ところが、あるお客さんとのやりとり。見積もりの段階で、急に先方が怒り出した。

「住宅展示場で聞いた話と違うぞ。君は俺を騙す気なのか。」

「いえいえ、もう一度説明しますね。」

と気を取り直して説明したが、うまく通じなかった。このままだと、俺は、会社をやめることになるかもしれない。まずは、上司には黙って、自分でなんとか対応してみよう。

そうした結果、結局契約には繋がらなかった。上司には報告しないで済ませたかったが、もう見積もりの段階で報告していたので、黙っているわけには行かなかった。

「坂上部長、すみません。見積もりの時にお客さまからは、このようなクレームがあったのですが、それは、先方の勘違いでして、このように説明したのですが、ご理解いただけませんでした。」

「君、なぜ、クレームがあった直後に相談してくれなかったのかね?」

「え?なぜと言われましても、ここは自分の責任と思いまして。」

「君は、責任の意味を取り違えているね。クレームをもらうことは必ずしも悪いことではない。会社全体で見直す事もあるし。もちろん、君自身の成長の糧にもなる。失敗してはいけないと自分だけで処理しようとすることは、エゴでしかないんだ。お客様のため、会社全体のため、ひいては社会全体のためを思って、仕事をすると良いだろう。」

「はい。」

 

さて、あなたは、AさんとBさんのエピソードを聞いて、どう思っただろうか。実は、Bさんのケースは驚くほど多い。多くの人は、会社全体のことではなく、自分のエゴで仕事をしてしまっていることがある。

視点を変えてみよう。

あなたは何のために仕事をしているのだろうか。

上司に評価されるためか。

自分のメンツを保つためか。

自分が成長したと実感したいためか。

違うだろう。

三方良しを考えるべきだ。自分良し。相手良し。社会全体が良し。

あなたは、自分だけのために働いていないだろうか?

 

情けは人の為ならず。相手のために働いていると、巡り巡って、結果的に、あなた自身がもっとも恩恵を被ることになる。

相手のため、社会のために視点を上げて、あなたの働き方を見直してみよう。