おばさんからの教訓

昨年、とてもお世話になった叔母さんが亡くなった。

大学生の頃、仕送りしてくれたり、何かと力になってくれた。死ぬまで、人に愛を与え続けている大きな存在だった。あの叔母さんは、亡くなってもう1年以上経つのに、まだ生きている気がする。

叔母さんの会社に、大学生の夏休みに手伝いに行った事がある。産業廃棄物処理業で、特に紙を扱っていたので、トラックが下ろしていった段ボールを機械に運んだ。

「沙耶花は仕事ができるね。」

そんな一言を私の母親に漏らしていたという。それを聞いて、とても嬉しかった。多くの人を雇ってきた社長だ。何を見たのか分からない。ほんの2−3時間手伝っただけだ。叔母さんは、どこからともなく見ていたのだ。

自分が、経営者になって思う。

叔母さんは偉大だった。多くの人が叔母さんの会社に雇われて、人生を救われた。影響力の大きい人だった。死ぬ直前まで、生きることに貪欲だった。

「沙耶花、良い治療法はないのかい?」

入院していた叔母さんの元に、毎日多くの人がお見舞いに訪れた。ある日の夕方、叔母さんのお見舞いに行くと、いつものように10人くらいの親戚が病室にひしめき合っていた。それまで、意識が朦朧としていたそうだが、私が行ったら、目を開けて手を握ってくれた。

「おばさん、今までありがとう。」

今日が最期になると思った。その日、みんなが帰った後、叔母さんは、ひっそりと息を引き取った。叔母さんらしい最期だった。そんな、愛情深い人でありたいと思う。