日本で精神科診療が遅れている理由

先日、ある会社でメンタルヘルス研修をさせていただくに当たって、腸と脳の関連についての本を読んでいた。

複数の本に書かれているが、精神科診療が、時を止めている理由。それは、やはり1600年代の哲学者であり数学者のデカルトが、物心二元論を説いたところから始まる。

魔女や宗教の時代から科学の時代に移行する時に、科学万能主義者が時代を誤ったことになる。体と心は別々のものだ。体は機械のように扱えば、治すことができる。心は別物。

そこで、出てきたのが、フロイトであり、ユングであり。人のトラウマまで遡り、それを開放するためのカウンセリング技法を追求する。アドラーはそのあと出てきたが、より現実主義者で、行動にアプローチしている。私は、アドラー先生のことがとても好きだ。その理由に、デカルトに洗脳されずに、心の問題を行動で解決しようとしているからだ。

もっと追求するとアドラー心理学では物足らない。そもそも精神病は、心の病気ではなく、栄養障害だと説いたのがウイリアム・ウォルシュ博士(米)だ。統合失調症、自閉症、うつ病、パニック障害などを栄養学のアプローチで治療し、結果を出したという。

しかし、日本の大学の医学部で教わる精神科医療は、フロイト、ユングの時代で止まっている。アドラー心理学さえ、触れない。栄養学で精神病を治すなどもっての他である。

すなわち、医学教育は、デカルトの物心二元論にもっとも影響を受けた精神医療のまま、現代も止まっているのだ。

それゆえ、精神科医は心の問題しか見ない。昔は、採血ができない精神科医もいたらしい。身体症状が出れば、すぐに内科に紹介するのだ。

逆も然り。内科医は、身体の問題しか見ない。心の問題と疑えば、すぐに精神科を紹介する。精神科患者とレッテルを貼れば、身体的アプローチさえおろそかになる医師もいる。

心と体は一緒にみる必要がある。本当の意味での心療内科を復活させるべきだ。全ての医師が、心療内科的アプローチは身につける必要があるだろう。