効率を追求すると優しさを忘れる

スペイン旅行に行った時に思った。

便利さをあまり追求しすぎないがゆえの豊かさがある。

ある地下鉄は、一旦入ると、反対側のホームには行けなかった。地下鉄回数券を買って使っても、いったい自分が何回分使ったのか分からなかった。終わりが来ると、改札に入れても使えないことが初めて分かる。

結構、不便なことが多かったが、人は皆優しかった。人にすれ違って、肩がぶつかれば、互いに挨拶した。

電車の中をなぜか、浮浪者が歩いていた。人から恵んでもらったお金で電車に乗り、さらに、人にお金を乞うていた。相手にしない人が多かったが、中には、お金を恵む人がいた。

日本に帰ってきて、みんな効率性を追い求めるあまり、無駄なものは排除する。

お年寄りは、働けなくなったら、価値がないと感じてしまう社会。田舎は、限界集落となれば、居住し続けることができなくなり、より都会へ移動せざるを得ない。

より速く、より質が高い仕事を求められ、賃金は上がらない。

なんとも忙しく、人に優しくない世の中なんだろう。

いつから、こんなに急いでいるんだろう。自分は。

一見無駄に見える物も人も、実は尊い存在なんだということを忘れてはいけない。そして、人が過ごすくつろぎの時間の中にこそ豊かさがあることを忘れてはいけない。

効率性のみを追い求めるのはやめよう。足元を見てみよう。一見無駄に思えることに、ゆっくり向き合ってみよう。

豊かさとは、そういうものではないだろうか。