僕の気持ちは分からない

「僕の気持ちは、絶対にさやかには分からない。」

夫婦喧嘩した時に、何度となく、夫に言われたことがある。

「うん、分からない。」

と答えるしかなかった。本当に分からないのだ。少しは分かるかもしれない。分かったふりはできるかもしれない。でも本当には分からなかった。

夫婦であっても、家族であっても分からない。

でも、人は人と一緒に支え合って生きていくのだ。一人では生きていけない。結婚や家族という形でなくても人と関わっていない人はいないと思う。人は究極に孤独であり、一方で寂しがりやなのだと思う。

分かり合えないのに、なぜ、一緒にいるのだろうか。何かそこに鍵があるのかもしれない。

分かり合えなくて、すれ違いがあっても勘違いがあっても毎日食べるご飯が美味しければ良いし、きれいな空を見ることができればとても幸せなのだ。

先日、とある露天温泉に使って、空の雲を見ながら、そう思った。

学生の時に読んだ小説の中の主人公に憧れて、結婚した。炊きたての白いご飯のような人と結婚したい。そう思った。

うまく言えないけど、夫婦とて赤の他人だから、思考パターンは全く理解できない。いつまで経っても平行線である。

でも、全く裏がなくて素直な笑顔を見るのがとても好きなのだ。

まあ、理解し合えなくても良いかなと思う。