サヤカ・クリニック人材募集の要件

従業員採用に頭を悩ませる経営者は多い。

どのように募集するのか。
採用基準はどのようにするのか。
応募者に必要な資格、技術は何か。

クリニックを開設するときに、ハード面から考えると
受付、医療事務、看護師、看護助手
というように役割を考え、個々に募集していくのが通常だろう。

当院のやり方は、異なる。
まずは、ハード面ではなく、ソフト面を重視する。
当院採用のソフト面の条件はただ3つ
1、成長する気があるか
2、素直か
3、打たれ強いか

共に一緒に未来を作って行く意欲があり、自分のことを注意されたらそれを素直に受け止めるキャパシティがあること、そして、怒られてもへこたれない精神を持っていること。
さて、このような3つの条件を持っている人の共通点は何か。自分または家族の心の病を自ら克服しているのである。心の闇を見つめ自ら癒し、今に生きているのだ。
だから、彼女たちはとても強い。

ハード面では、何を気にするかと言うと
仕事をあまり分割して募集しない。
開業医とは中小企業であるから、始めから専門性の高いスタッフばかりを雇用してしまうと、人件費ばかりが量んで実務が伴わないということがありうる。
オールマイティに働けるかどうか。
当院では、受付、処方入力、会計、看護助手の仕事まで
全スタッフが把握し、補い合って働いている。

その中で、各スタッフが得意分野を自然に役割分担している。

有資格者は、たった一人の准看護師のみだ。
問診や点滴などの看護師の仕事だけは、彼女にお願いしている。
その看護師もオールマイティで、すべての仕事に関わってもらっている。

医療事務の資格や実務経験をなくて問題ない。
医療事務とは、クリニックによって診療内容が異なるので、経験者であっても、結局一から覚えてもらうことが多い。
当院では、経験なしのスタッフに一から教えて、今では、私なしに
処方の入力から、会計、レセプト請求まで担ってもらっている。

さて、私がどのようにレセプト請求を学んだかお伝えしよう。
「分からないことは調べる。調べて分からないことは聞く。」
これは、母親から教わった。
母は、仕事で必要な車の名義変更から、経理の仕事まで、人に聞いて覚えるのが得意だった。「〇〇の窓口に行くと、よく教えてくれるんだよ。専門家にお願いするとお金がかかるが、自分ですればただで済むんだよ。」
私は、開業当初、まずは、レセプトを紙請求した。レセプトに関する本を2-3冊読んで、自分の診療に関わる診療点数を把握し、エクセル表でレセプト作成し、提出した。
最初は、総括表の意味もよくわからないので、やはり不備があり、国保連合会、支払い基金から電話が来た。電話で分からないことは、窓口まで行って教えてもらった。必要な書類の種類、レセプトの書き方まで丁寧に教えてくれた。
そこで、国保、支払い基金、連記式などレセプト請求に必要なことはほぼ覚えた。
その後で、レセコンを導入した。感動した。手書きでしたことを、パソコンは一瞬でできてしまうのだ。この手書きの経験があったこそ、レセコンの仕組みも分かるし、スタッフ教育に生きている。

このようにレセプト業務を自ら覚えたので、教えれば誰でもできると思っていた。
スタッフにも入門書を渡して読んでもらったり、お昼休みに説明をしたりした。
だが、これは、とても特殊なんだということに最近気づかされた。

ある飲み会のことだ。
私の前に座ったスタッフWさんが、隣の友人に何やら話している。
Wさん「先生、ひどいんですよ。医療事務の専門的なことまで、〇〇さんや〇〇さんにやらせてるんですよ。」
あ、そうだったのか。これは、専門性の高いことを、パートスタッフにお願いしていたと、そのとき初めて気づかされた。
私「医療事務を教えたから、実務経験として、当院を離れた後も役立つんじゃない?」
Wさんここで働いたら、もう他のクリニックで働きたいと思いませんよ。
あ〜うれしいことを言ってくれるなあ。

と言う訳で、当院は非常にスパルタに
何の資格も実務経験もない主婦のパートの方や放送大学の学生にかなり高度な医療事務のことまでお願いしているという現実のようだ。
しかも、彼女たちは、医療事務だけでなく、そうじ、会計入力、電話受付、看護助手まで、幅広い業務をこなしてくれている。

そろそろ、クリニックが次のステージに行くときには
もう少し役割分担がはっきりして、業務別に人材募集するようになるだろう。
それでも、皆がお互いの仕事を共有するということは守っていきたい。

働き者のスタッフの皆さんに心から感謝する

 

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