のたれ死んでもいいから、自由が欲しい

北野武の本を立ち読みした。その一節に、大学を中退した時のことが書かれていた。「のたれ死んでも良いから、自由が欲しい。」と思い、大学を中退して、芸人の道に入った。でもこのような生き方を他人には勧めないと。大学をやめて、ある常識の枠から外れたことで、見えて来たものがあって、この自由さを生まれ変わっても選ぶと書かれていた。

ふと我に帰った時、病院を辞める時の決断は、そうだったかもしれない。

私は、自由に生きる為に、普通の医者であることを辞めたし、勤務医であることも辞めた。ただ、本来の人の健康に寄与する自分でありたい。そのことで、のたれ死んでも良いという覚悟。その覚悟を再確認した。

いつか、統合医療を実践する仲間が増えたら良いし、仲間に伝えていくことに貢献したいと思っているが、そのことを考えると気が重かった。

なぜか、その理由が、今日分かった。

そうだ。自分のような生き方を、人に勧めることはできない。

だって、リスクだらけだから。開業医で、しかも他で実践していない統合医療という分野でやっていくことが、成功するなんて、誰にも分からない。私は、自由に、真の医療を実践したいから、腹を決めて、道を進んでいる。そして、素晴らしく楽しい。リスクがあって、誰もやっていないから楽しいとも言える。そして、同じ志を持ち、共にリスクを背負い、真の医療を実践する仲間たちに会えたことに感謝している。戦国時代の武士たちと同じかもしれない。

一方で、こんな訳の分からない道を進むことを覚悟がない人に勧める勇気は、今のところ私にはない。どこにも本当の答えなんてなくて、自分たちで答えを作り出していく。来る者拒まず、去る者追わず。本当に覚悟がある人と一緒に、共に未知の分野に向かって、知恵を持ち寄り、進んで行く。それで良いんだなって、北野武さんに気づかせてもらった。