自分の力を過信しない

「私がもう少し面倒を見てあげれば、この子はもっと違う人生を送っていたのに。」

そんな母親の声を聞くことがある。

そうなんだろうか?

「この人が、別の医者にかかっていれば、命が助かったのに。」

本当にそうなんだろうか?

私が、何かをしてあげられなかったと、悩むことはない。

 

結局のところ、家族であっても、他者の人生を変えることはできない。

もし、変えることができると考えていたら、それは大きな傲慢だと思う。

そんな後悔をするくらいなら、今の瞬間瞬間を大切にした方が良い。過去に戻ることはできない。今、目の前にある人、事柄を大切にし、最善を尽くす。

反省は大事である。しかし後悔はしない。

反省とは、現状を改善するために行うものなんだ。

 

先日、テレビで、不良生徒が熱血先生に出会い、更生し、立派に生きている姿を写していた。確かに、その先生との出会いは、彼女の人生を大きく変えたのだろう。

しかし、先生との出会いによって気づき変わったのは彼女自身である。

クリニックでも、「先生と出会って、自分の人生がこれほどまでに良くなりました。」と言う声を聞くと嬉しい。私との出会いが、彼女の人生に影響を与えたのかもしれない。

しかし、やはり、変わったのは彼女自身なのだ。

 

だから、いつも目の前にあることに誠実に向き合っている。

 

医者だからと、患者の人生の責任を負うことはできない。

教師だからと、生徒の人生の責任を負うことはできない。

それは、その人の人生だから。

人の人生を変えることはできない。

でも、私は、人は自分で変わることができると信じている。

エールを送り続けることはできる。

それが私の役割なんだと思う。